今日はシャインの深堀を
メルマガ第35号をお送りします .本日はシャインについて深堀ます。
シャインは第24回で大問が出たので、少なくとも25回では大問としては出題されないとは予想していますが、試験対策として重要なので計画通り取り上げました。

エドガー・シャイン(1928~2023)

 

まずは出題頻度No.2の大御所です。シャインは人間と組織の関連性をキャリア理論に導入したことで有名です。

 

第16回の試験くらいまではスーパーと同じくらいの頻度で出題されていたのですが、最近は飛び飛びの出題でだいぶん話されています。

 

シャインは組織と個人の相互作用という視点から理論を構築しています。覚えておきたい概念は以下のとおりです。
 
「外的キャリア」と「内的キャリア」
  外的キャリアのモデル:キャリアコーン
  内的キャリアのモデル:キャリアサイクル
キャリアアンカー
◇キャリアサバイバル
キャリア・コーンとは、シャインが表した組織の3次元モデルで、組織内でのキャリアは3方向で形成されます。
①垂直方向:職位や職階を上がる(下がる)
②水平方向:職能での移動(例えばジョブ・ローテーション)
③組織の中心方向:地位・機能が同一のまま、組織にとっての自己の重要性が変化する 。
 キャリアサイクル<9段階の組織内のキャリア発達段階>

第1段階:成長・空想・探索期(21歳くらいまで)
第2段階:仕事世界へのエントリー期(16歳から25歳くらいまで)
第3段階:基礎訓練期(16歳から25歳くらいまで)
第4段階:キャリア初期の正社員資格(17歳から30歳くらいまで)
第5段階:正社員資格、キャリアの中期(25歳以降):社会圧力に順応する方向で個人が「変化」する段階
第6段階:キャリア中期の危機(35歳から45歳):キャリアに対して持っていた夢と現実のギャップをどのように解決するかを決定することが求められる段階
第7段階:キャリア後期:非指導者(非リーダー)と指導者(リーダー)に分かれる
第8段階:衰え及び離脱(40歳から引退まで)
第9段階:引退 

キャリア・アンカー

個人が選択を迫られたときに、その人が最も放棄したがらない特性で、以下の3つの要素の組合せで構成され8つのキャリアアンカーに分類されています。

 

①才能と能力 

②動機と欲求 

③態度と価値

<8つのキャリアアンカー>
 
➀専門・職能的コンピタンス
   自分の専門性や技術が高まること
②全般管理コンピタンス
   組織の中で責任ある役割を担うこと
③自律・独立
   自分で独立すること
④保障・安定
   安定的に 1 つの組織に属すること
⑤起業家的創造性
   クリエイティブに新しいことを生み出すこと
⑥奉仕・社会貢献
   社会を良くしたり他人に奉仕したりすること
⑦純粋な挑戦
   解決困難な問題に挑戦すること
⑧生活様式
   個人的な欲求と、家族と、仕事とのバランス調整をすること
キャリアサバイバル

社員個人の仕事上譲れない価値観を意味するキャリアアンカーと、環境や組織のニーズとの調和を意味する言葉です。その調和を生み出すステップとして提唱されたのが6つのプランニングステップです。 
  1. 現在の職務と役割を棚卸する
  2. 環境の変化を識別する
  3. 環境の変化が利害関係者の期待に与える影響を評価する
  4. 職務と役割に対する影響を確認する
  5. 職務要件を見直す
  6. プランニング・エクササイズの輪を広げる

【問題演習】
シャイン(Schein, E. H.)の理論に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。


1. キャリアをとらえる際には、「動的キャリア」と「静的キャリア」の2つの軸でとらえ、このうち動的とは、組織内の階層次元や職能ないし技術次元等の移動を示している。

 

2.  キャリア中期の危機(35-45 歳)の発達課題として「自分のキャリア・アンカーを知り、

評価する」、「現在を受け入れるか、別の未来を選ぶか明確な選択を行う」がある。

 

3. キャリア・アンカーを確かめるには、「才能と能力」、「動機と欲求」、「意味と価値」に関する 3 つの問いが有効であると述べている。

 

4. 個人が生きている領域を「生物学的・社会的」、「家族関係」、「仕事・キャリア」の 3 つのサイクルに分け、各サイクルの段階と課題は、相互に密接に関連しあうと考えた。

答えは1です
 
シャインは「内的キャリア」と「外的キャリア」を2つの軸と捉えているので誤りです。
そもそも動的キャリアという用語はありませんが、いかにもありそうな用語として出してくるのが出題傾向です。
 
あやふやな理解ですと「そんな用語があったかもしれない」と思い間違ってしまいます。選択肢であやふやな知識の部分があったら「これは間違い」と仮決めして、他の3つの選択肢から消去法で結論を決めるという解答法が意外に効果があります。
【相談へのキャリアアンカーの適用】

ハローワーク等の職業相談サービスに訪れる人の中には、今自分が働いている業界・職種と異なる業界や業種を希望する相談者がいます。
 
そのような方は、転職、再就職といった自分に重要な転機を迎え、これまでの自分のキャリアを否定し、心機一転再出発しようと考えます。今働いている業界・職種で転職・再就職をしないのは、当然現状に対し不満があり、現在のキャリアの延長上には、自分にとっての充実・幸福を見出させなく、今の自分に対し否定的な見方をするのは当然かもしれません。
 
CC「新しい就職先を考えるにあたり、あなたの強みは何とお考えですか?」
 
CL「強みですか?今の会社の仕事をやっていて成長を感じられなかったから、転職を考えているんです、全く新しい業界では今の私には強みがあるとは思えませんね」
 
CC「強みがあるとは思えないんですね?」
 
CL「そうですね。頑張って今までの遅れをとりもどさないと」
 
この相談者がこのままの意識で転職が上手くいくと思いますか?まず、無理でしょう。
 
このような場合に役に立つのがキャリアアンカーです。就業経験がある方の多くは、そのキャリアの中て自身のキャリア・アンカーを形成しています。一通りキャリアアンカーの説明をした後で
 
「質問に答えるだけです。一度やってみませんか?」
 
と投げかけます。今ではキャリアアンカーをネットで簡単に調べることができるので勧めやすいです。そうやってキャリアアンカーを調べる作業を進める中で相談者は自然な形で自己理解を始めることになります。
 
「そんなことはないですよ、あなたには必ず強みがあります!」
 
などと形だけの励まし(少なくとも相談者はそう思うのでは?)よりは余程効果的です。

そして自分のキャリア・アンカーを知ることで、ひょっとしたら自分の行こうと思う方向が自身のキャリアアンカーとマッチしていないことに気付くかもしれません。また、自分の今の仕事への不満の要因がっキャリアアンカーとのミスマッチという理由に気付くかもしれません。
 
そのような形で相談者が自分自身と向き合い、自己理解が進めば、徐々に自分が進むべき道がみえてくるものと思います。
今日はシャインの理論、特にキャリアアンカーについて深堀りしました。今回出てしまったので、どうしようかな?と思ったのですが「キャリアアンカーの適用」の記事を書きたかったの計画通り取り上げました。
 
適用例は「職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査」(独立行政法人労働政策研究・研修機構)のシャインの項を参考にしました。
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