【相談へのキャリアアンカーの適用】
ハローワーク等の職業相談サービスに訪れる人の中には、今自分が働いている業界・職種と異なる業界や業種を希望する相談者がいます。
そのような方は、転職、再就職といった自分に重要な転機を迎え、これまでの自分のキャリアを否定し、心機一転再出発しようと考えます。今働いている業界・職種で転職・再就職をしないのは、当然現状に対し不満があり、現在のキャリアの延長上には、自分にとっての充実・幸福を見出させなく、今の自分に対し否定的な見方をするのは当然かもしれません。
CC「新しい就職先を考えるにあたり、あなたの強みは何とお考えですか?」
CL「強みですか?今の会社の仕事をやっていて成長を感じられなかったから、転職を考えているんです、全く新しい業界では今の私には強みがあるとは思えませんね」
CC「強みがあるとは思えないんですね?」
CL「そうですね。頑張って今までの遅れをとりもどさないと」
この相談者がこのままの意識で転職が上手くいくと思いますか?まず、無理でしょう。
このような場合に役に立つのがキャリアアンカーです。就業経験がある方の多くは、そのキャリアの中て自身のキャリア・アンカーを形成しています。一通りキャリアアンカーの説明をした後で
「質問に答えるだけです。一度やってみませんか?」
と投げかけます。今ではキャリアアンカーをネットで簡単に調べることができるので勧めやすいです。そうやってキャリアアンカーを調べる作業を進める中で相談者は自然な形で自己理解を始めることになります。
「そんなことはないですよ、あなたには必ず強みがあります!」
などと形だけの励まし(少なくとも相談者はそう思うのでは?)よりは余程効果的です。
そして自分のキャリア・アンカーを知ることで、ひょっとしたら自分の行こうと思う方向が自身のキャリアアンカーとマッチしていないことに気付くかもしれません。また、自分の今の仕事への不満の要因がっキャリアアンカーとのミスマッチという理由に気付くかもしれません。
そのような形で相談者が自分自身と向き合い、自己理解が進めば、徐々に自分が進むべき道がみえてくるものと思います。 |